伊集院 俊幸 院長（伊集院歯科医院)のインタビュー

地域とともに歩んできた歯科医院

父が歯科医で、周りもみんな後を継ぐだろうという雰囲気のなかで育ったので、何の疑いもなく自然と歯科医への道を歩むことになりました。当院は、父が開院したクリニックですが、始まりを紐解いていくと祖父との関わりがすごく大きいんですね。

戦中戦後、今のみなとみらい地区は三菱重工の造船所がありました。祖父がその造船所の所長だったんです。大きな造船所でしたから、怪我をする人もいるということで所内にいくつか診療所があり、そのなかの歯科を父が任されていました。その後、昭和30年代に入って今の大倉山記念病院。創業当初は三菱重工大倉山病院でしたが、そこの歯科に父が横浜造船所から行くことになり、当時は三菱重工の病院なのでその社員と家族しか診察が受けられなかったんですね。そこで、地域の方が三菱重工に関係のない人も診てもらえないか、と現在の当院の場所にクリニックを建ててくださったと。父は病院の勤務が終わったあとに、ここで地域の方の診療にあたっていたと聞いています。それが、昭和51年のこと。その後、昭和62年に、東京での勤務医時代を経て私が加わり、平成16年に代替わりしました。

2代、3代で通う患者も

父は、平成19年に大病をしまして。そのときは84歳でしたが、それまではここで一緒に診療をしていたんですよ。その後、91歳で亡くなりましたが、今もときどき「大先生はお元気ですか」という患者さんがいらっしゃいますね。あと、私は父とあまり顔が似ていないので「2代目は息子さんじゃないの？」と聞かれることも。間違いなく実の親子です（笑）。と言っても、私も当院で診療を行うようになって40年近く。患者さんも2代、3代でいらっしゃる方も多いですね。すごくありがたいことだと感じています。

しっかりと話を聞いて診療を

できる処置があるなら、何でも治療するというのが当院の特徴です。もちろん難しいものは提携病院を速やかにご紹介しますが、一般歯科診療において困ったことがあったら気軽にご相談だけでもいいのでいらしていただきたいと思っています。また、コロナ禍以降は予約の時間も最低で30分。待合室で患者さんが重なることのないよう長めに時間を取っています。時間に余裕がある分、しっかりとお話を聞くことができています。どんな些細なことでも、とにかくお話をお伺いするというのは歯科医になってからの私のモットーです。お話を聞けば聞くほど、その方のバックグラウンドもおのずと見えてきますし、こういうタイプの入れ歯の方が合うんじゃないかな、とか治療の方向性も見えてきますね。また、先入観を持たないようにすることも心がけています。第一印象で「こんな方かな」と思っても、実際違うことが多くありますから。

長くやっているからこその喜びも

お子さんから高齢の方まで、地域の方を中心に幅広い方にご来院いただいています。地域密着の歯科医院ですから、長く通われている方も多く「こんなに大きくなって」と親戚のような感覚を持つことも。「あんなにやんちゃだったのに、立派な会社に勤めるようになったんだね」と思う患者さんもいたりして、そういった喜びを持てるのも長年ここで歯科医をやってきたからこそだなと思います。やっぱり何ごとも一生懸命やることですよね。スタッフにもよく言いますが、人間誰しも失敗することはあると思うんです。でも、そのときにどれだけ一生懸命やっていたか、というのが大事なことだなと日々、真摯に患者さんと向き合っています。

地域の方には感謝の気持ちでいっぱい

そろそろ年齢的にも変化がある時期ですので、今後は患者さんに迷惑がかかることがないよう変化を自覚できるよう気をつけていこう、と思っています。今のところ、身体もどこも悪くないですし、メガネはかけていますが特に不自由はしていませんので、安心していただけるのかなと。父が84歳まで現役でしたから。負けてられないなという想いもありますけどね。この場所を貸していただいている大家さんや過去お世話になっていたレセプト屋さん技工所、材料屋さん、そしてスタッフ。周りの方に助けていただいたことはもちろん、地域の患者さんに頼りにしていただいたからこそ、ここまで長くクリニックを維持できたのかなと、今は感謝の気持ちでいっぱいです。これからも歯のことでお困りのことがあったら、気軽にご相談いただけたらうれしいですね。ちょっと顔を出していただけたら「どうしたの？」と悩みを聞きますから。これからもよろしくお引き立てください！

※上記記事は2024年6月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。