加藤歯科医院 加藤 賢祐 院長 KENSUKE KATO
神奈川県横浜市出身。父が開院した加藤歯科医院を継ぎ、2代目院長に。(横浜市営地下鉄グリーンライン 日吉本町駅より徒歩約5分ほか)
神奈川県横浜市出身。父が開院した加藤歯科医院を継ぎ、2代目院長に。(横浜市営地下鉄グリーンライン 日吉本町駅より徒歩約5分ほか)
当院は父で歯科医の加藤武彦が1964(昭和39)年に開業。当時は、同じ日吉でも赤門坂のあたりでしたが、1970(昭和45)年に現在の場所に移転しました。父は6人兄弟の末っ子で、早く家を出る必要があったそうなんです。そこで、歯科医を目指して大学卒業後すぐに開院したと聞いています。父は補てつが専門でしたが、早くから訪問診療や口腔ケアに着目し、その治療の普及に尽力するなど、歯科業界ではかなり有名な人でした。ですが、僕に歯医者を継いでほしいといったことは一度もなかったんですよ。というのも、すごく厳しい人だったんです。当院は1階が診療所で2階が自宅、というスタイルですが、診療中はもちろん仕事場である1階に僕が入ることは一切禁止。ですから、自分が歯科医師になり当院に務めるようになって初めて父の仕事ぶりを見たことになります。当初は、僕が当院に務めることにも難色を示していたんです。大学卒業後は、父の知人にあたる北九州の歯科医師のもとに修行に行ってこいと言われて、どうしても関東に戻りたかった僕は父の知り合いでもあった大学の教授のもとに相談に行って、なんとか話をつけてもらいました。大学で8年、しっかりと研鑽を積んでから、父と一緒に当院で診療にあたるようになりました。
一緒に診療するようになり、最初に言われたのは「歯医者は手に職をつけたサービス業だから」ということ。父を見ていて一番すごいなと思ったのは、いきなり口のなかを見ようとしないことでした。よっぽど腫れて痛くて、どうしようもない方以外、余裕のある方に関しては、まず話を聞く。カルテには、健康保険の種類が書かれているので、そこからどんな仕事をしているのか、というような話から始めるんですよね。患者さんから話してくれるようになるには、興味のあることや得意なことから聞いていけばいいと。新聞を読め、コミュニケーション力をつけろと言われたことを覚えています。
3回脳梗塞を患った父も先日まで現役で診療しておりました。父の患者さんから帰りがけに「先生がいるから、ずっと安心ね」と言われることも。それはすごくありがたい言葉ですし、少しは認めてもらえているのかなとも感じています。父が尽力した訪問診療も受け継いでいきたいとは思っていますが、寝たきりなど、どうしようもない状態以外、お子さん方が連れてこられる状態であれば、来院いただきたいですね。やっぱり外出すると気持ちも変わりますから。また、心身障がい児歯科として、障がいをお持ちの方の診療も対応させていただいています。
今、僕は港北区歯科医師会の副会長を務めていますが、すごくお世話になった歯科医師会に恩返ししたいという気持ちが大きいです。若い方々に人とのつながりや仕事の仕方などを伝えていきたいとも思っています。当院に見学に来られる若いドクターには、「先生、よく喋りますね」と言われます。そこが、自分の強みなのかなとも思いますね。自分の思っていることが自然と口に出てしまっているのかもしれませんが、患者さんに提供する治療はしっかりと説明したい。例えば、保険診療でも選択肢があるならばどの治療法でも、メリットデメリットをちゃんと説明します。患者さんから「先生が選んでよ」と言われることもありますが、たくさん喋ったんだから1日くらいは考えてみてよと。患者さんの意思を尊重したいという思いがありますね。
父が若いころから通ってきてくださる方もいますし、親子3代で、という方も多いですね。僕が小学生のときにおんぶしたことがある、というおばあちゃんを息子さんが連れてきたくださることもありますし、高齢の方も増えてきました。診療台はそれぞれパーテーションで仕切っている半個室タイプですが、自然と声が大きくなってしまって、隣の患者さんから「先生、聞こえていますよ」なんて言われることも(笑)。歯科の診療としては、あまり人に任せることが好きではないので、どうしてもお待たせしてしまうこともありますが、そういったときにも「あと10分くらいかかるから、少し待っててくださいね」と正直に伝えています。自分が嫌だなと思うことはあまりしたくないですし、気持ちよく治療を受けて帰っていただきたいなと思っています。
歯科医師としては、やはり皆さまにかかりつけのドクターを作っていただきたいという気持ちが大きいです。歯科医師会として、お子さんの検診を受け持つこともありますが、小児科のかかりつけ医はあっても、歯医者はない、という方が非常に多いんですね。歯医者は何かないと行かない、という方も多いと思いますが、3~4カ月に一度でいいのでメンテナンスに行くような習慣を子どものころから持っていただきたいなと。保護者の方にもよくお話していますが、3歳検診が終わると就学前検診まで歯科の検診はほとんどないに等しいですから、むし歯や困ったことがなくても歯医者さんに行って、かかりつけ医を作ってお口の相談をしてください。
※上記記事は2024年3月に取材したものです。
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