李 盛植 院長（リーデンタルオフィス新横浜)のインタビュー

開院にいたるまで

私が大学を卒業した頃は大学病院での研修義務がありませんでしたので、そのまま大学病院での仕事に就くか、他に就職先を探すかの選択を迫られました。学閥ピラミッドの頂点を目指すために仲間を蹴落とす争いはできないと、恥ずかしながら23歳の私は偏った想像をしていたので、迷わず地元の患者さんの中で一人前の歯科医師と認められ生きる道を選びました。若気の至りでしたが、選択にまったく後悔はありません。教育機関から離れることになるので、黙って過ごすだけでは技術も知識も新卒歯科医師のままでストップしてしまう。勤務先の指導医を超えることもできない。危機感は募るばかりでした。時間を惜しんでは著名なドクター達の講演に足を運び、多くのセミナーへ参加しました。ある先生のお話に、24歳の歯医者さんが65歳まで元気に働けたとして40年。まずは10年をとにかく「勉強」、次に10年は勉強を続けながら「実践」、そして10年で手がけた治療の結果を「評価」、それからの10年は「教育」を。深く感銘を受けました。じっくりと生涯をかけて取り組める。焦ることもなくなりましたね。

私が歯科医師になって10年目というタイミングで、新横浜を治療の実践と評価に捧げる場に決め、2008年に『リーデンタルオフィス新横浜』を開院いたしました。少しでも地域の方々の健康に役立てればと思っています。

診療の押し売りと試行錯誤をしません

お口のトラブルは難解で奥が深く複雑ながらも、実はシンプルな原因への対処が求められることが多いです。お困りの方が求められていることに必要な処置を施し、結果につなげる。まずは最小限で済むようにします。治ったと感じていただければ幸いです。大がかりな治療を要する場合は精査する時間をいただき、診断を立て後日、診療の方法をお伝えするようにもしています。計画立てた治療が必要な場合もありますから。診断が疎かでは治療のゴールは成功に至らないと考えます。「見立て」を大切にし、お悩みに合った治療を提供したいですね。

弱ってしまった部分を可能な限り長く使うことと、治療初期から戦略的に取り除いて新しいものに換える、例えばインプラント治療など。どちらが善い選択か、状況を熟慮すれば納得の答えは出ます。しかし早くから「抜くしかない」理由を押し付け、その後の選択肢だけ与える診療では、診療とも言えません。セカンドオピニオンとしてのご相談も歓迎します。

治すための責任を負う、人の口の中で試行錯誤してはいけない。恩師の言葉です。

予防歯科に注力

1歳のお子さんから90歳を迎えるご高齢の方まで、幅広い層の患者さんが当院をご利用されます。治療が終了し、せっかく「治りました」という状態から、また悪くなってほしくありません。そのため歯科衛生士の施すメンテナンスやクリーニングで、むし歯や歯周病の予防に取り組んでいます。

歯科衛生士には「診る目」を求めます。早期発見ができれば再治療のリスクも減りますから、メンテナンスにはしっかりと時間をいただきます。何気ない会話から不調を察知することもあります。現在、常勤の歯科衛生士は7名を数えます。開業当初はスタッフも少人数でしたが、1人増え、2人増え開業以来ずっと診療を共にしてくれ、患者さんにとっても、かけがえのない存在となっています。

いつでも同じひとがいる歯科医院に、安心される方も多いようです。

プロフェッショナルが力をあわせる

私たちのチームは歯科医師、歯科助手、歯科衛生士、それから院外にいる歯科技工士。

金属加工冠、セラミックス、入れ歯など、精度の高い歯科技工物なくして質の高い歯科医療は成り立ちません。それぞれの分野のスペシャリストを「技巧師」と呼ぶべきかも知れませんね。当院では3名の歯科技工士と提携しています。どの方も私が勤務医だった頃からの長いお付き合いです。実際に診療室にいない彼らが模型に対して作業するだけのことにならないように、ひとの体を再構築するという意味を見失わないため、なるべく多くのお口の情報を共有することを心がけています。「治す」のに欠かせない重要な仕事を担っていただいています。

地域のみなさんへメッセージ

お口をキレイにしましょう！いろいろな意味で「キレイ」は強いと確信します。上手な歯磨きが望ましいですが、そうでなくても。歯磨きは毎日一生続ける地味な作業です。キレイにすることの積み重ねが、間違いなく健康というご自身の財産になります。寝る前のハミガキは最も効果的です。その後に甘いもの口にしちゃダメですよ（笑）。使うものがシンプルでも、「続ける」ことこそ大切だと思います。それでも不安があれば何でもご相談ください。いつまでも健康なお口で、人生が豊かなものでありますように。

※上記記事は2024年8月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。