亀田 陽一 院長（セーラ歯科医院)のインタビュー

歯科医師への「スイッチ」

祖父と父がそれぞれに歯科医師であったことから、歯科医という仕事が常に身近にあり、親しみが深くありましたね。医師も含め、医療の道への憧れも、学業を進めるごとに増していきました。

どちらの道にせよ、人の役に立ち、人を助ける仕事をしたかったのです。結果として、歯科医師になりましたが、口腔外科を専門に診ていらっしゃる先生の元で、勤務したことで、親知らずの抜歯や顎関節症など口腔外科の分野にも精通することが出来ました。

「スイッチ」が入ってしまえば、血液すら水のように思えます。普段ですと、切り口からの出血でも慌ててしまいますが…（笑）。習い性になるものですね。そういう点で、歯科医師が適していたのだと思います。

あなたの不安も、お話しください

はじめて来院された患者さんの中には、緊張感を漂わせていらっしゃる方も多いですね。そのような患者さんたちに、不安感を与えないよう、安心して治療を受けていただけるように、ゆっくりと丁寧に治療説明することを心掛けています。患者さんが、どのような治療を希望されているのか、どのような結果を望まれているのか、また現状のお口の状態はどのようになっているのか、そして治ったお口はどれだけ噛みやすく、快適なのか、イメージを持っていただきます。

それらのような、治療方針を踏まえてしっかりとお話しするように心掛けています。

口腔外科（親知らず）もお任せください

卒業後に勤務した歯科の先生が、口腔外科の専門でいらしたので、見て学び、施術の経験を積み上げられたことは、とても幸いでした。歯茎の下に水平に埋まった親知らずの抜歯など、現在も他院からのご紹介を受けて、ご来院される患者さんもいらっしゃいます。歯茎を切開の後、根を切断、埋まった歯を掘り起こして抜歯するのですが、大学病院に行かずとも当院で完結出来るので、患者さんのご負担も最小限で済み、喜んでいただけることが嬉しいですね。

レーザーを使った治療と歯随細胞バンク

「セーラ歯科」の特徴として、治療にレーザーを用いることも、そのひとつでしょうか。歯周病や親知らずの抜歯などで、歯肉を切開する必要があるとき、メスを使用しますと、かなり出血量が多くなってしまいます。出血量が多いと患者さんの負担も大きくなりますし、止血、施術に時間を要します。また、電気メスを使いますと、止血しながら切開できる利点がありますが、熱量を発生させるため、血中タンパクが凝固しやすいというデメリットがあります。加えて、電気メス先に接触している細胞の蒸散（はじく）が切開であるため、切り口に難点が残ります。相違して、ハードレーザーですと、痛みが少なくて、出血はほぼありません。痛みと炎症を緩和し、創傷治癒を早める効果があるため、治療をスムーズに進めることが出来るのです。その他、ＹＡＧレーザー、エルビウムレーザー等と、使用する目的ごとに使い分けています。インプラント治療などで、歯や骨に穴を開ける場合、レーザーを使用すると、ドリルを使用するよりも侵襲が少なく、穴が開きやすいのです。

もうひとつは、「歯随細胞バンク」です。これは、乳歯や親知らずなど抜歯した歯の神経の中にある細胞です。これを幹細胞培養し冷凍保存して保管することで、いざというとき、歯の再生医療に役立てることが出来ます。歯随細胞を使って、未来の自身のために、または、あなたの大切な人のために備えることが出来る、という選択です。

予防、それはあなたの気づき、から

歯医者が好き、という方は余りいないかもしれませんね。痛くなってから、意を決してご来院されると、たいがい一本の治療で済まないことが多いです。

年齢と共に、身体の不具合が出たり、口腔内に違和感が出たりするのは、誰しもが避けては通れないことです。歯石を除去したい、などの些細なきっかけから、歯科に定期健診されることを、強くお勧めします。クリーニングをしながら、歯や、歯茎など口腔内をチェックし、異常があれば早期発見、早期治療をすることが、とても重要なのです。

食べたものが歯に挟まる、それまで見えていなかった歯根が露見するのは年齢のシグナルです。歯茎の下がり具合を見れば、おおよその年齢が分かります。そして、加齢とともに、歯周病のリスクは上がります。歯周病は歯を支えている骨や歯茎が溶けていく病気です。炎症によって毒性物質を発生させ、歯肉の血管から全身に入り血糖値を下げるインスリンの働きを悪くさせたり（糖尿病）、血管の動脈硬化（心筋梗塞・脳梗塞）、誤嚥性肺炎にも深く関与しています。歯周病の治療と予防を行うことで、さまざまな病気に掛かるリスクを下げることが可能です。

歯周病が重篤な病気の因子であることを知り、痛くなる前から、定期的に検診を受けてくださいね。

※上記記事は2024年8月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。