大岩 あき子 オーナー（クライミングジム ビッグロック 日吉店)のインタビュー

趣味の山登りからクライミングに

小さいころ、山登りが好きだった父に丹沢などに連れて行ってもらっていたんですね。それもあって大人になってからも山登りや沢登りを趣味で続けていたんですけど、20歳のときに勤めていた山の道具屋さんでクライミングをやっていた主人と知り合ったことがクライミングを始めるきっかけになりました。当時、ヨーロッパ・アルプスに行ってみたかったんですね。向こうの山はクライミングができないと登れないので、ちょうど教えてもらえる！と思って。そんな始まりでしたが、やってみたらその面白さにハマってしまいました。自分の身体一つを使って岩を登るというのは、学生時代に体操をやっていたんですけど、それに近いなとも感じました。誰かと競い合うというよりは、自分のパフォーマンスをどれだけうまく引き出せるかというのが似ているなと。それがすごく面白かったです。

クライミングのインストラクターに

始めは趣味でしたが、アメリカに登りに行ったときにインストラクターが女性のクライマーだったんですね。それまで男性のインストラクターは日本にもいたけど、女性でやっている方はいなかったので、自分がやってみるのもいいなと。そのころ、まだクライミングを始めて4年目くらいで、全然ベテランでもなかったんですけど、女性のクライマーの仲間を増やしたいという気持ちもありました。当時は今ほどメジャーなスポーツではありませんでしたから。それで、女性のためのクライミングスクールを始めることになりました。当初は、女性オンリーでしたがだんだん男性の方からもお問い合わせをいただくようになって、それだったらと主人にも手伝ってもらうようになり、10年くらいスクールをやったところで、関東近郊にインドアのクライミングジムができ始めたんですね。横浜にも作ってほしいという要望に応えて、1994年にクライミングジム ビッグロックをオープンしました。

さまざまな設備を整えた希少なクライミングジム

当時は鶴見区の方でしたが、2012年に日吉に移転。かなり広いところを見つけられたので、規模も大きくして多種多様な設備を整えました。トップロープとリードクライミングウォールが14種類。クラックやマルチピッチの練習もできる希少なクライミングジムというのが特徴かと思います。オートビレイ器も設置していますし、ボルダリングウォールも充実しているので、1日いても飽きないダントツのルート数というのもポイントです。
基本的にクライミングというのは山や岩、屋外でやるものですが、日本は天候に左右されることも多いですし、最近はボルダリングも盛んになってきているので、外の山に行かずにこのジムで完結して、あとはコンペなどを目指すという人も増えています。山岳会に入っている方がクライミングの練習に来てくださる場合もありますし、どんな目的があっても練習できる場所になっていると思います。

初心者から上級者まで楽しめる！

初心者の方からベテランの方まで。年齢層もお子さんからおじいちゃん、おばあちゃん。80代の方もいらっしゃいますね。山登りをやられていた方が多いので、体力もありますし、クライミングって、基本は自分の身体だけなので高齢になっても楽しめるんですよね。皆さん、目的はそれぞれですが、やっぱり昨日よりも今日の方がうまくなりたいし、ちょっとでも続けていけば上達するものでもあるので、そういう過程を楽しむというのも面白いところだと思います。スクールも常に受付していますので、初めての方も安心して挑戦していただけるかと思います。女性でも、力がなくても意外と登れるんですよ。身体能力が必要なスポーツというよりも、どちらかと言うと頭を使うスポーツ。その課題をどう攻略していくか。パズルを解くような感覚かもしれません。もちろん競技としてオリンピックを目指すとなると運動神経の高い人の方が有利だとは思いますが、趣味の範囲で楽しむのであれば、運動が苦手という方も安心して挑戦いただけるはずです。
とはいえ、クライミングは楽しいだけでなく危険な部分もありますので、そういったところはきちんとお伝えするようにもしています。自分の身は自分で守っていただきたいですし、知識があれば自分で対応できるようにもなりますから。

もっとクライミング人口を広げたい

私がクライミングを始めた当初から思うと、ここまでクライミング人口が増えるなんて思ってもみなかったので、すごくうれしいですね。ワールドカップやオリンピックの影響も大きいと思いますが、メディアにもたくさん取り上げられるようになって、お子さんもすごく増えました。お子さんが始めることで、裾野がより広がったようにも思います。小さいころにやったことがあれば、大人になってまたやってみようかなという動機付けにもなりますし、自分の子どもがやりたいと言うなら私も、と始める親御さんもいらっしゃいますね。
昔は、こういうジムがなかったのでいきなり山に！という感じでしたが、こういったところで練習してからの方がより楽しめるんじゃないかなとも思います。興味がある方はぜひ気軽に遊びに来ていただけたらうれしいです。

※上記記事は2024年8月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。